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24時間365日働く営業マン、爆誕
「AIテレアポくん」は、「1日数千件のコールが可能」で「24時間365日、自動で大量架電」を謳い、人間に代わってAIが営業電話を行うという。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000084222.html
スパム以外の何物でもない
冷静に考えてみてほしい。そもそも電話という行為は何なのか?相手の時間を強制的に奪う、極めて侵略的なコミュニケーション手段である。だからこそ、「特別な間柄」の人だけに許される行為のはずだ。
それをAI技術を使って、求められてもいない電話を大量にかけ続けるなんて、社会迷惑以外の何物でもない。
見えないコストを誰が払っているのか
これにはもっと深刻な問題がある。AIテレアポが消費する社会リソースのことだ:
- 通信帯域の専有:大量の通話は通信インフラに負荷をかける
- 電力網への影響:サーバーから通信設備まで、膨大な電力を消費
- 社会コストの転嫁:企業の利益のために、社会全体のリソースを無駄遣い
これって、公共の道路を使って自分の宣伝カーを走らせまくるようなものじゃないだろうか。技術的に可能だからといって、やっていいことと悪いことがある。
防御側の苦悩:僕らの会社でも起きていること
実は、うちの会社でも一部、電話受付を代行サービスに頼んでいる。理由は単純で、メンバーの集中力を阻害されたくないからだ。集中している時に営業電話が鳴ると、その後のパフォーマンスがガクッと落ちる。これは科学的にも証明されている事実だ。
でも考えてみてほしい。もしAIテレアポが本格普及したら、今度は受電側もAIで対応せざるを得なくなる。そうなると…
AI vs AIの不毛な戦争の始まりだ。
メールが教えてくれた教訓
実は、これと似たような現象は過去にもあった。メールが普及したとき、手紙に比べて送信が容易なため、スパムメールが大量に送られるようになったのだ。
最初はひどい状況だった。受信ボックスはスパムで埋まり、重要なメールを見つけるのも一苦労。でも、メーラーの迷惑メール機能が進化して、だいぶマシになった。
電話の場合も同じパターンになりそうだ:
- AIテレアポの台頭:大量の営業電話が社会問題化
- AI受電システムの普及:防御のためのAI開発競争
- イタチごっこの始まり:攻撃AI vs 防御AIの終わりなき戦い
技術に魂を込める責任
このサービスは、「メールだけではなく、大量のスパム電話をかけれることができるようになりました!」という話だ。ぜひ使ってください!とプレスリリースを堂々と打つなんて、感覚がどうかしちゃってるとしか思えない。
企業も個人もAIから無限にこんな電話がかかってくるサービスは迷惑千万だ。そんなサービスを利用する商品を好きになるわけがない。そんなことも想像できないのだろうか。
AIテレアポの話を通じて見えてくるのは、作り方、使い方次第では、AIは簡単にディストピアを作ることもできてしまう。重要なのは、AIが人間を支えるユートピアを作れるかどうか。