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17.インドネシアのオフショア開発の特徴

目次

近年、オフショア開発の分野で注目されている国がインドネシアです。その背後には、人口の多さ、低い労働コスト、政府の支援、そして英語スキルなど、多くの要因が組み合わさっています。この記事では、インドネシアがオフショア開発拠点としてどのように有望であるのか、さらに、ベトナム、フィリピン、タイとの比較を通じて、その理由を詳しく探っていきましょう。

人口の多さと若い平均年齢

2020年インドネシアの人口は世界第4位で2億6700万人おり、今後も増え続け、2030年には2億9600万人になる見込みです。オフショアで有名なベトナムの人口は9554万人であり、インドネシアではベトナムの約3倍の人口を有しているため、世界的なITの人材不足が見込まれる中、長期的な技術者の安定供給を期待することができます。

豊富な人材: 世界第4位の人口

他のオフショア開発国との比較

人口(億人)平均年齢
インドネシア2.7230.2
ベトナム0.9632.5
フィリピン1.1025.7
タイ0.7040.1
中国14.138.4

若い年齢層、平均年齢29歳

日本の平均年齢は48.4歳と世界で最も高い一方、インドネシアは平均年齢29歳と非常に若い年齢分布となっています。また、インドネシアにおける生産年齢人口(15~64歳)は1億7500万人おり、人口全体の64%を占めています。

インドネシアの人口ピラミッド

出典:インドネシア統計局(BPS)、「Statistik Indonesia/Statistical Yearbook of Indonesia 2018」より弊社作成

日本の人口ピラミッド

出典:総務省統計局HPより弊社作成

ベトナムより高いコストパフォーマンス(国別オフショア開発費用の比較)

2000年前半、インドや中国の開発単価が上がったことにより、多くの企業がベトナムへと開発拠点を移しました。そして国策としてもIT関連の海外投資を積極的に誘致した結果、世界の大手IT企業グループの投資等により世界有数のオフショア拠点となりました。しかしその弊害として、人口9554万人のベトナムでは人材の引き抜き合いが加速し、エンジニア単価が高騰しました。一方、2億6700万人の人口を擁するインドネシアではまだまだ優秀なIT人材が豊富におり、エンジニア単価の高騰はおきておらず、コストパフォーマンスの高い開発を実現できます。

平均時給(USD)
インドネシア$3.5
ベトナム$4.1
フィリピン$3.9
タイ$4.9
中国$6.2

ベトナム

ベトナムもまた、低コストかつ技術力の高い労働力で知られています。ベトナムの教育システムは優れているため、技術的なスキルは非常に高いですが、エンジニアの賃金が近年非常に高騰してきています。

フィリピン

フィリピンは、英語を話す人口が多く、カスタマーサポートやBPOで非常に人気があります。しかし、ソフトウェア開発の分野では、インドネシアが競争力を持っています。また、フィリピンは台風などの自然災害が多い地域であるため、注意が必要です。

タイ

タイはインフラが整っており、政府の支援も受けられますが、高齢化が進んでいるため、今後の人材確保が課題となります。また、英語スキルはそれほど高くありません。エンジニアの賃金も物価の高騰と共に近年急激に上昇しています。

政府の支援と優れたインフラ

インドネシア政府は、IT産業の発展を国家戦略の一環として位置づけ、以下の施策を推進しています:

デジタルインフラストラクチャーの拡充

  • 高速インターネット網の全国展開
  • データセンターの整備

IT教育への投資

  • 大学でのIT関連課程の拡充
  • 職業訓練プログラムの提供

外国投資の促進

  • 税制優遇措置の導入
  • 規制緩和と手続きの簡素化

高い英語スキルに基づくスキル

インドネシアは1万4000を超える島々で構成され、300を超える民族がある多民族国家です。地方語は500以上あり、インドネシア人は公用語とされるインドネシア語と地方語の両方を話します。そのため、英語をはじめとする語学習得能力および他の文化の人々とのコミュニケーション能力が非常に高く、英語を話すエンジニアが多いという特徴があります。これにより、国際的なビジネスコミュニケーションが円滑に行われるだけでなく、最新の技術情報のキャッチアップが早く、技術レベルが非常に高いです。

  • EF英語能力指数:アジア地域で上位(2024年データ)
  • プログラミング言語の習得:Java, Python, JavaScriptなどが人気
  • 技術トレンドへの適応:AI, ブロックチェーン, IoTなどの新技術にも積極的

タイムゾーンの利点

インドネシアは、多くの国とのタイムゾーンの差が少なく、特に近隣の国とのビジネスがしやすい位置にあります。これは、プロジェクトの進行をスムーズにする上で非常に有利です。

日本との時差
インドネシア-1~2時間
ベトナム-2時間
フィリピン-1時間
タイ-2時間

文化的親和性:親日感情とポップカルチャーの影響

インドネシアは世界でも有数の親日国家です。インドネシアは第二次世界大戦後、オランダとの独立戦争が勃発しました。このとき元日本軍の3000人がインドネシアとともに戦い、多大な犠牲を出しながらオランダ軍を排除し、独立への手助けをしました。このような歴史的背景も、現在の親日国家となった要因の一つと言われています。また、若い世代にはアニメ、JKT48(AKBのインドネシアの姉妹グループ)の影響も非常に強く、多くの若者が日本語を勉強したり、日本企業で働きたいと考えています。

強い親日感情

  • 長年の経済協力と文化交流による信頼関係
  • 日本の技術や製品に対する高い評価と信頼

日本のポップカルチャーの人気

  • アニメや漫画の広範な普及
  • コスプレイベントや日本文化フェスティバルの盛況

日本語学習熱

  • 日本語学習者数の増加傾向
  • 日本企業就職への高い関心

これらの親日文化は、ビジネス上パートナーとして以下のような利点につながっています:

  • コミュニケーションの円滑化:日本の企業文化や仕事のスタイルへの理解が深い
  • プロジェクト管理の効率化:日本的な品質管理や納期厳守の概念への親和性
  • 創造性の向上:日本のコンテンツ産業への理解が、デジタル製品開発にも好影響

まとめ

インドネシアは、若くて教育された労働力、低い労働コスト、優れたインフラ、政府のサポート、高い英語スキル、そしてタイムゾーンの利点など、オフショア開発拠点として多くの強みを持っています。これらの要因が組み合わさることで、インドネシアは今後、オフショア開発の分野で更なる成長が期待される国となるでしょう。これらのポイントを考慮し、戦略的にオフショア開発拠点を選定することが、企業の長期的な成功にとって重要です。

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