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オフショア開発がビジネス界で注目されている一方で、その成功は適切な開発先の選択に大きく左右されます。開発先の選択は、プロジェクトの質、コスト、納期に直接影響を及ぼすため、慎重に検討する必要があります。以下に、オフショア開発先を選ぶ際のポイントを詳しく解説します。
1. 技術力と専門知識
最初に考慮すべきは、オフショア開発先の技術力と専門知識です。選択する開発先は、プロジェクトに必要な技術スタックを理解しており、最新の技術トレンドにも精通している必要があります。開発会社のポートフォリオなどの実績を確認することが重要です。さらに、具体的な専門知識を持ったチームが揃っているかを確認することで、プロジェクトの品質が保証できるかをしっかり検討します。使用技術が決定していない場合は、どのような技術を採用するかを相談できるPMがいるかを確認することが重要です。
2. コミュニケーション能力
言語の壁や文化的な違いがコミュニケーションが問題となる場合が多くあります。そのため、開発パートナーと円滑にコミュニケーションをとる能力は、プロジェクト成功のために必須です。日本人じゃない人が担当窓口となる場合は特に注意が必要です。日本語自体は特で理解できても、日本で当たり前と思っていることが現地では当たり前のことでない場合が多々あります。このようなコミュニケーションに不安がある場合は、日本人のエンジニアがPMとして担当する会社をお勧めします。
3. コストと品質のバランス
低コストがオフショア開発の魅力の一つですが、コストだけを追求すると品質が犠牲になることもあります。したがって、コストと品質のバランスを考慮し、長期的な視点で開発先を評価する必要があります。また、コスト以外にも、最新技術の情報を提供できる、すでに開発した技術を応用して工数を削減してくれるなど、付加価値を提供できるパートナーを探すことが重要です。
各国の職種別平均賃金の情報などに基づくプログラマの平均単価は以下のとおりです。
国 | プログラマの人月単価 (円) |
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インド | 32万 – 37万 |
フィリピン | 34万 – 40万 |
ベトナム | 28万 – 32万 |
中国 | 38万 – 42万 |
インドネシア | 23万 – 30万 |
マレーシア | 35万 – 40万 |
タイ | 35万 – 40万 |
バングラデシュ | 23万 – 30万 |
4. 時差と地理的な位置
開発先の時差や地理的な位置も重要な要因です。大きな時差はコミュニケーションの遅延を引き起こし、プロジェクトの進行に影響を及ぼす可能性があります。一方で、近い地理的位置は、必要に応じて対面でのミーティングが可能であるという利点があります。
以下の表は、日本からの代表的なオフショア開発の国とその時差の表です。日本の標準時は日本標準時 (JST) で、UTC+9です。なお、一部の国では夏時間が採用されているため、時差が変動することがあります。
国 | 標準時 | 日本との時差 (時間) |
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インド | IST (UTC+5:30) | -3.5 |
フィリピン | PHT (UTC+8) | -1 |
ベトナム | ICT (UTC+7) | -2 |
中国 | CST (UTC+8) | -1 |
インドネシア | WIB (UTC+7)など* | -2 〜 -1 |
マレーシア | MYT (UTC+8) | -1 |
タイ | ICT (UTC+7) | -2 |
バングラデシュ | BST (UTC+6) | -3 |
*注: インドネシアは複数のタイムゾーンを使用しています (WIB: UTC+7, WITA: UTC+8, WIT: UTC+9)。
5. 法的・規制上の課題
開発先国の法律や規制は、プロジェクトに影響を及ぼす可能性があります。データプライバシー、知的財産権、契約法など、関連する法律を把握し、リスクを最小限に抑えるための準備をする必要があります。
オフショア開発における法的な側面についての詳細は次の記事をご参照ください。
6. カスタマーサポートとアフターサービス
プロジェクトが完了した後も、技術的なサポートやアップデートが必要となることがよくあります。開発パートナーがこれらのアフターサービスを提供しているか確認し、長期的な関係を築けるか評価しましょう。
7. 規模と柔軟性
開発先の規模も考慮するべき要因です。大規模な開発会社はリソースが豊富ですが、価格が高くなりがちです。一方、小規模な開発会社はより柔軟でパーソナライズされたサービスが期待できます。プロジェクトの要件に応じて、最適な規模の開発会社を選ぶことが重要です。
8. エンジニアの経歴書(CV)を確認する
開発プロジェクトの成功は、関与するエンジニアのスキルに大きく依存します。したがって、エンジニアの経歴書(CV)を確認し、彼らの専門知識、経験、および以前のプロジェクトに関する情報を精査することが重要です。これにより、エンジニアがプロジェクトの要件を満たす能力を持っているかを判断します。
弊社のエンジニアのCVの例を掲載しておきます。
項目 | 内容 |
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保有技術 | Java (Android Studio), HTML5, CSS3, JavaScript (jQuery, Vue.js, React, Three.js), Flutter, Typescript, PHP (Laravel), Objective-C (iPhone), C#, Linux (RedHat), Database (SQL, MySQL), Rest API, Server, Unity (AR), WordPress/Drupal, Mobile App (Android and iOS), ASP.NET, Git |
得意分野 | 上流工程からプロジェクトに参画した経験が豊富であり、要件定義からの設計、データベース設計を適切に行います。また、プロジェクトマネージャーとしての経験もあり、タスク管理ならびにチーム統括を行うことができます。積極的なコミュニケーションを取ることに長けており、メンバーから業務上の問題点をヒアリングすることで円滑に業務を進めます。 |
主な実績1 | – プロジェクト概要: コーポレートサイト – 開発規模: 6人月 – 期間: 2015年10月 – 2015年11月 – 役割: 要件定義、基本設計、詳細設計、プログラミング、テスト、運用、保守 – 使用言語・使用ツール: HTML5, CSS3, JavaScript (jQuery), PHP, WordPress |
主な実績2 | – プロジェクト概要: ECサイト – 開発規模: 6人月 – 期間: 2016年12月 – 2017年01月 – 役割: 要件定義、基本設計、詳細設計、プログラミング、テスト、運用、保守 – 使用言語・使用ツール: HTML5, CSS3, JavaScript (jQuery), PHP, WordPress, Magento |
主な実績3 | – プロジェクト概要: 銀行Webサービス – 開発規模: 40人月 – 期間: 2017年02月 – 2019年02月 – 役割: 要件定義、基本設計、詳細設計、プログラミング、テスト、運用、保守 – 使用言語・使用ツール: PHP, ASP.NET |
主な実績4 | – プロジェクト概要: 求人情報掲載ツール – 開発規模: 10人月 – 期間: 2019年02月 – 2019年04月 – 役割: プログラミング・保守 – 使用言語・使用ツール: HTML5, CSS3, WordPress, PHP (Laravel) |
主な実績5 | – プロジェクト概要: 店舗リフォームプラン検討ツール – 開発規模: 180人月 – 期間: 2019年05月 – 2019年08月 – 役割: プログラミング、テスト、保守 – 使用言語・使用ツール: HTML5, CSS3, JavaScript (jQuery), PHP (Laravel) |
まとめ
オフショア開発先を選ぶ際は、これらのポイントを検討することが重要です。適切な開発先を選択することで、品質の高いプロジェクトをコスト効率よく進めることができます。また、異なる国や地域と連携することで、グローバルな視点を持つことができ、ビジネスの拡大につながります。